海外向け商品企画について

新商品の開発を目指すとき、どのように商品の機能やデザインを作り込んでいくか?あるいはどこから手をつけたら良いのか?等と悩む事はよくありますよね。特に海外の市場では市場環境や国民性がよく理解できないので悩むことが多いです。とはいえ、日本の商品をそのまま押しつけて失敗する例はよくあります。でも多くの場合、日本市場ではお互いわかっているからプロセスをスキップしてしまうが海外向け商品の企画では基本をしっかり踏むことが大切なのです。今回は海外市場向けの商品だけでなく一般的な商品企画のありかた、企画マンの資質について考えて見ようと思います。

企画担当者が新商品を考えるとき「思いつき」って結構懸念されます。企画会議などでも「それって単なる思いつきでしょ?」という上司の一言で会議が凍り付いてその先に進めなかった、という経験ありませんか?その割には「もっと自由な発想を期待していたのだがなあ・・・・」等と言われ心の中で『だったら自分で意見出せよ』と思いながら一言「すみません」とつぶやき退席してしまう、等と言うこともよく聞く話です。大手電機メーカーでの商品企画の担当やマネジメントの経験から商品企画で大事なポイント、ヒット商品を企画したり回りの人達を納得させる企画プレゼンに少し役立つ方法を紹介したいと思います。

商品を構成する要素について

まず大事なことは「思いつき」は決して悪いことではないと言うことを認識すべきです。基本的に起点は「思いつき」です。悪いのは「思い込み」です。企画のプレゼンを聞いていても「思い込み」が入っていると感じると聞いている人、判断する人の印象が悪くなります。なぜ、この発想を思いついたのか?そしてその思いつきをどう検証して提案に至ったか?が論理的かつMECE(*1)に述べられていると比較的納得感を得られやすいと思います。勿論これは商品企画に限った事ではないですが、設計や技術研究、製造といったものがもともと数字に裏付けされて論理を進めるとともに聞く側がその専門性を持っていないと対抗できないものである領域であることに対して、商品企画や広告という業務は感性の部分が多く聞く側も特別な専門性を持たなくてもユーザー視点で対抗できる部分があるため、誰でも一言言いやすいし、ある意味誰でもできる業種であるためより論理性が求められるというわけです。

ところで皆さんは商品力を構成する要素を問われたときに、何個挙げることができますか?すぐに思いつく要素は「価格」、「デザイン」、「大きさ」、「重さ」、「機能」等を思い浮かべるのではないでしょうか?でも「価格」だけ取っても「定価」、「実売価格」、「値引き率」、「原価率」など価格にまつわる商品力を決める要素は際限なく挙げることが可能です。「あー、そういうことならもっと挙げられるな」と思いますよね。そう、その要領でどんどん挙げてみてください。さて、何個出せましたか?商品企画担当者としては50個以下だと少ないです。もう少し経験を積みましょう。100個以上挙げられたら合格!こんなことを昔先輩から教わりました。これは実はとても重要なポイントです。つまり、企画を考えるときどれだけ多面的にその商品、サービスを検討するか?できるか?が企画マンにとって最も大切なことだからです。

商品企画をする前に

商品そのものだけでなくその商品を取り巻く環境がどう変化してきているのか?その商品がローンチされる時期およびその商品のライフ期間中にどう変化するのかを予測することも必要です。勿論それ以前にその商品は会社の方針、目指す方向に合致しているのか?も問われます。「その商品面白そうだけども我が社にとってどんな価値があるの?」なんて質問も企画会議では問われますよね。よく企画はサーチライトであると言われます。つまり、多方面に渡って方向性を明確にするが役割だからです。ではどんな範囲にサーチライトを当てるべきでしょうか?それをまとめたのが次のチャートです。

商品企画の思考すべき範囲とは

これらは商品に落とし込む前にまとめておくべきコンセプトとして必要なものです。勿論、これらを一個一個商品について事細かく検証するのは大変です。よって、まずは事業の中期計画を作成するときにこれらをまとめていき商品群としての役割を明確にして、その上で事業計画の一つとして具体的な商品として落とし込んでいくわけです。上記の広い範囲に関して方向性が出ているので、後はさっき記述した商品の要素を決めていくにおいても提案が場当たり的にならず説得力のあるものになってきます。

しかしながら、ここばかりプレゼンしていくと逆に具体性がなくなります。例えば、

何処で、誰と、何で(これが重要)、どのように闘うのか・・・・・・とか

中期計画の視点ならば・・・

現状はこうだから、ここに着目して、敵をこう予測して、

こう言う活動指標を立てて、目玉をここに置いて、こう闘って、○○を目指す!

その実現の為には

△△△を具体的に進めます!

課題は×××です。 

などというプレゼンを行うと鋭い役員からこう言われます。

”なんか何が言いたいのか全くわかんないなー。

  結局ラインナップ構想が全く触れられていないじゃないのかな”

そう、理屈は正しくても最後はきっちりその方向性に見合う商品の要素を挙げなければ説得力はまたなくなりますよね。また、前述したようにコンセプトを明確化し商品に落とし込んでいくと自分の頭の中ではとてもクリアに論理展開しているので前述した「思い込み」が発生しやすくなります。これを避けるためには「ビジネスモデルキャンパス」(*2)などのフレームワークを活用するのが効果的です。

まとめ

商品企画で最も大切なことは

  • 事業を意識し多面的に方向性を検証していくこと。これが商品コンセプトの土台になる。
  • 市場環境は今ではなく、商品やサービスのローンチタイミングとそのライフの期間中の状況を予測していくこと。
  • バックグラウンドの論理は大事だが理屈ばっかりのプレゼンは具体性を感じさせない。
  • 「思い込み」を避ける。その為にフレームワークを活用する。

これらを意識して商品企画を進めていけば、海外向け商品だからといって恐れることはありません。

*1MECEとはMutually Exclusive collectively Exhaustiveの略。お互いが重複なく全体として漏れない事を指す。

*2ビジネスモデルキャンバスとは、ビジネスモデルを構築する際に考える必要のある要素を分類し、図式化することによって、目には見えないつながりを視覚で理解出来るツールとなり、「Business Model Canvas」の頭文字をとってBMCと言われることもあります。

ビジネスモデルキャンバス

執筆者

垣内 康伸